「C-major」レーベルよりリリースされている、パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送交響楽団によるマーラー・チクルスの第4弾は、交響曲第7番『夜の歌』、第8番『千人の交響曲』。
パーヴォは、マーラーの交響曲の中でも第7番が特に好きだということ。一般的には演奏される機会は他の曲と比べると少ないですし、
マンドリン、ギター、カウベルなど新しい楽器を取り入れ、全体としては見通しが効かず、理解しにくいとされています。
しかしパーヴォはこの作品を世に出したマーラーの姿勢に共感し、「私はやりたいことをやる」というスタンスが大変気に入っており、ある種の前向きさを感じると言っています。
それはパーヴォの演奏にもあらわれており、マーラーが作品に託した輝きを明確にし、パーヴォの透徹した視点が、複雑な構成をもつ作品に道筋を与えています。
一方、第8番をパーヴォは悪夢だと表現しています。実際に『千人の交響曲』と呼ばれ、ステージには300人ほどが並び、映像でみると圧巻の迫力。
パーヴォは「壮大な5番、悲劇的な6番、辛辣な7番、そして8番で元に戻った。過去の成功のバラマキだと批判する人もいるが、
そうではなく告白と救済というテーマをもとに、マーラーはありのままに愛されることを望んだ、それを表現した作品である」と語っています。
パーヴォは第2部の救済というテーマを宗教的なものではなく、マーラーの母親、アルマ、グレートヒェン、関係する女性に無条件の愛を求めた個人的な視点をクローズアップした解釈で、
女声、男声、少年合唱を巧みに使い感動的に聴かせています。(キングインターナショナル)