これまで考古博物館を開く夢を持って60年以上にわたり集めてきた考古遺物を、終活の一環で断腸の思いで出品していきます。
今回は須恵器のやや黒っぽい提瓶です。さげべとも言うように本来は吊り下げるためのしっかりした耳も持っていましたが、次第に退化して本来の役目をなさなくなり、この提瓶では痕跡すらなくなっています。胴部は両面相似形の曲面ではなく、一面は明確に平底状になっています。したがってもはや吊り下げて使うことは忘れさられ、横に置いて使用する前提で製作されています。模様としては胴部に同心円状の轆轤目がつきますが、曲面の頂部には崩れた青海波文(?)のような模様が見られます。一方、ハの字形に開く口縁には、汚れのような自然釉がみられ、外面には2本沈線文がひかれています。
提瓶は、この時代広く使用されており液体を入れる容器で水筒のように使われていた言われますが、当初は明器(墳墓の副葬品)として使われる場合が多かったようです。
この提瓶は、胴部は傷はあるもののほぼ完全ですが、口縁には欠損があったようです。しかし、それらもうまく補修されています。90%以上がオリジナル部品です。時代的には古墳時代後期の7世紀頃のものと思われます。出土地は三重県と伝わりますが、具体的な出土場所は不明です。大きさや状態は、写真参照して確認ください。
返品やクレームには対応ませんので写真と説明文をよく確認の上入札をお願いします。しっかり梱包して発送しますが、途中で破損する可能性はあります。その場合は、ご自身で補修できないようでしたら、返送いただければ補修いたします。よろしくお願いします。